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Daily life of mother of autistic child

- Daily life of mother of autistic child -

広がりゆく波紋を、ただ見つめることしかできないのだろうか

少し前のことなんだけれども。

ブログに書きたいなと思いつつ、なかなか書けなかったことがある。

発達が気になる子を育てていると、そんなことばかりなのだけど。

 

波紋は、誰にも止めることはできないのだろうか。

幾重にも重なり広がっていく円を、止める術はないのだろうか。

 

 

うちの次男は、発音に課題がある。

発語は1歳すぎからと順調で、1歳半の時点で10個ほど単語を言えていたと思う。

 

今思えば、長男の発語は”音真似をしている”だけで、相手に何かを伝えるための言葉としては機能していなかった。

あれを発語とカウントしてよかったのだろうか。

しっくりこない感だけはあったが、母親初心者では判断できなかった。

 

それに比べて次男はしっかり「相手に伝えるため」の手段として、言葉を使っていた。

この違いは感覚的なもので、言葉で説明するのはすごく難しい。

発達が気になる子を育てている親ならきっと、わかってくれるんじゃないかと思うのだが、どうだろう。

 

しかし、意思を伝える役目を担っていた次男の言葉は、次第に雲行きが怪しくなっていく。

 

聞き取れないのだ。いつまで経っても。

 

幼児期ならそんなものだろうと言われるかもしれないが、「そんなもの」を通り越して、何を言っているのか聞き取れない。

 

友人の子が小さいときも、何を言っているのか聞き取れなかったが、母親はちゃんと聞き取れていた。

母ってすごい、と感心したことを今でも覚えている。

 

でも、私は母なのに次男の言葉を聞き取れない。

聞き間違う。何度も言わせてしまう。

何度言わせても、わからない。

 

わが子が何かを伝えようとしているのに、それを受け止めることができない。

これほどに辛いことがあっていいのか。

「ごめん、なんて言ってるのか分からない……」

一体何度、謝っただろうか。

 

聴覚障害を疑い、検査にも行った。

構音障害を疑い、言語聴覚士に何度も相談した。

 

でも、どちらも違った。

発達的な問題だと。

 

はっきりとした原因は分からない。

ただ、誤った発音の仕方が癖ついてしまっている。

構音訓練をしながら、長期的に見ていくしかない。

そんな見解だった。

 

 

発音だけじゃない。話し方も独特だ。

ずっとセリフを言わされているような、抑揚のないロボットみたいな。

こんなことは言いたくないが、1日中一緒にいると気が狂いそうになるときもある。

 

次男の場合、自然に改善する可能性は低い。

しかし構音訓練は4歳になってからと言われており、ただ時が来るのを待つしかなかった。

 

まだ2歳、まだ3歳。やっと4歳。

本格的な訓練が開始されても、もちろんすぐに改善はしない。

とにかく数をこなし、年単位で修正をかけていく。

 

4歳からと言われるけれど、正直4歳には難しい訓練だ。

ましてや自閉スペクトラム症と診断を受けているのだから、難しさが増す。

 

就学までに改善したかった。からかわれることを恐れていたから。

でも、就学を待たずとして、始まってしまった。

 

「うちの子が次男君の話し方を真似しているようで……。

ごめんなさい。子どもにはしっかり言い聞かせます」

 

後頭部を鈍器で殴られたような感覚だった。

あぁ、ついにきてしまった。

ショックで呆然とするというのは、こういうことなのかとやけに冷静な自分もいた。

 

起こってしまったことを嘆いても仕方ないのだが、後だしで落ち込むくらいなら、最初に言っておけばよかったと後悔がよぎる。

 

ただ、年少の子どもが「真似をしちゃいけない」と理解するのは難しいだろう。

言ったところで子どもの行動に制限はかけられないし、言っても言わなくても、結果は同じだったのかもしれない。

 

幸いにも、現状次男の様子に変わりはない。

真似をする子も数人だ。

でもいずれ、今は真似をしていない子も、成長と共に周囲に興味関心が向き「遊びのつもり」を発展させてしまうかもしれない。

 

あくまでも、可能性でしかない。

でも、その可能性の先に、次男の笑顔がないことは確かだ。

 

私にできることはないのだろうか。

ただ、黙って指をくわえているしかないのだろうか。

いつか次男が悩んだり落ち込んだりする日が来ないことを、祈ることしかできないのだろうか。

 

純粋に、無垢に、他人を受け入れるからこそ、

無意識に、無防備に、人を傷つけてしまう。

 

そんな無意識で無防備な攻撃から、どうやって次男を守ればいいのだろうか。

 

止めようとして別の石を投じれば、元の波紋は歪むだけで広がり続ける。

別の石からは、新たな波紋が生まれる。

止めようのない波紋が、目の前で広がりを見せ続ける。

 

私は対岸から、波紋が消えるのを見ているしかないのだろうか。

 

 

おまめ